四本目の剣の運営をやってみて分かったこと
まえがき
この記事は、
の13日目に該当する。
タイトルにある四本目の剣( http://www.arkhamsoft.jp/4th_sword/ )は定期更新ゲームの一つであり、俺こと青い鴉( @bluecrow2 )が運営となって、アルファ版が公開・更新された(現在は更新終了)。定期更新ゲームのサンプルでもあり、ソースコードはGithub( https://github.com/bluecrow/teiki-sample1 )で公開(※1)されている。
この記事では、四本目の剣の運営を通じて、定期更新ゲームの裏側を体験したので、それを公開する。
定期更新ゲームの運営には時間が必要
定期更新ゲームの運営をしてみて痛感したのは、時間が必要だということだ。 毎日3時間の通勤、8時間の労働、2時間の食事休憩、7時間の睡眠を取っていたと仮定しよう。一日には24時間しか無いから、残りはたった4時間だ。しかもそれは普通はプライベートと呼ばれるプライスレスな時間だ。君が優秀なプログラマだったとして、たった4時間で何が出来るだろうか。
答えは簡単。ほとんど何もできない。
一日に4時間しか時間を取れないと何が起こるか
まず、既知のバグが直せない。どんなにシンプルなソースコードを心がけても、昨日の自分は他人である。まるで他人が書いたかのような、ソースコードの深い森の中で、やっかいなバグというモンスターを見つけ出し、確実に息の根を止められるのは、一握りの勇者だけだ。まあ、ひょっとしたら、君はうまくやるかもしれない。
しかし気を付けてほしい。既知のバグが直ったところで、それはデメリットを打ち消しただけだ。プレイヤーは何らメリットを受けていない。プレイヤーに期待されている新要素の実装には手が回らず、ただ貴重な時間だけが過ぎ去り、週末を、あるいは更新日を迎える。
そういうことが割と頻繁に起こるのだ。マジで。
定期更新ゲームの運営はリアルタイム
定期更新ゲームの運営はその名とは異なり、定期的にではなく、リアルタイムに進行していく。なぜなら、プレイヤーの継続シートは常に解放されており、バグ報告もリアルタイムだからだ。理想的には、バグ報告があったらすぐに(ここでのすぐにとは、LINEで送られたメッセージを打ち返すくらいの時間で)怪しいところを調査し、修正したい。
だが、上述したとおり、一度運営を始めてしまうとバグ対応には1日から数日かかり、新要素の追加などには手が回らなくなってしまう。プライベートの時間を全て捧げても、である。
話題作りのためには、1週間に1回更新としたいところだが、もし君がこれから定期更新ゲームを開発するのであれば、最初は2週間に1回更新くらいの更新頻度にしたほうがいい。
大丈夫だ。人生は長いし、定期更新ゲームのプレイヤーたちは優しい。君が燃え尽き症候群に陥らないように、プレイヤーたちは少しの時間を待っていてくれるだろう。
定期更新ゲームは連休中に作れ
上記が全く当てはまらないケースが、実はある。ゴールデンウィークやお盆休みをはじめとする連休中である。モチベーションの管理さえうまくできれば、たとえば5日間 × 食事と睡眠を除く15時間 = 75時間を開発に回せるのだ。これはスーパーマリオでいう無敵状態であり、君は世界設定やイラスト、ルールや継続シート、さらにゲームを面白くするアイデア、その他いろいろなものをガシガシ実装していけるということだ。連休を定期ゲー開発に捧げよう。
クローズドテストを、やれ
どんなに慎重に実装したとしても、バグはどうしても出る。なので、本番を始める前にバグを洗い出すという作業がどうしても必要になる。本番でバグを悪用されると完全にゲームが崩壊することさえある。セキュリティに不具合があったら訴訟ものだ。なので、少人数を対象にしたクローズドテストを実施することをオススメする。このとき、更新頻度は2日に1回とか、君の好きなように設定していい。
オープンテストを、やれ
クローズドテストが終わったら、オープンテストを行う。四本目の剣はこのあたりで挫折したので、あまり偉そうなことは言えない。オープンテストについては、別の記事に譲ろう。
新要素を段階的に公開していけるように作れ
ルール上の新要素を追加するために、ソースコードを直に弄るのは不味い。バグを埋め込む原因にもなるし、元のバージョンに戻れなくなると、いつからバグっていたのかすら分からなくなる。可能ならば、数更新先までに必要な、各種の新要素を、段階的に公開していけるように作るといい。
あと君が本職のプログラマーならば、Gitというツールを使うのもいいだろう。
あとがき
ここまで偉そうなことを書いたが、四本目の剣の開発再開の見込みは立っていない。セリフが全てブーメランとして返ってきて、頭と体に刺さっている状態だ。
しかし、人々はパンと定期ゲーを求めている。
こんな記事でも、どこかの誰かの参考になれば、それにまさる喜びは無い。
※1 とてもシンプルなルールなので、この記事でルールについて長々と書くのは止そう。